日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[XIII-29-09_11] 管理・環境(XIII-午前)

2019年3月29日(金) 10:20 〜 10:50 第XIII会場 (8号館8601講義室)

座長:梅村 和弘(農研機構北農研)

10:30 〜 10:40

[XIII29-10] 画像情報による黒毛和牛種の状態識別に基づいた分娩予兆検知システム

兵頭 亮介1, 安田 早希1, 斎藤 奨1,2, 菅原 一真1, 中野 鐵兵1,2, 赤羽 誠1,2, 小林 哲則1, 小川 哲司1 (1.早大理工, 2.知能フレームワーク研)

【目的】カメラからの画像情報を用いて牛の分娩予兆を検知するシステムを構築する場合,(1) 少量データでもシステムを構築可能,(2) 周辺環境の変化に頑健,(3) 予測結果の根拠を説明可能であることが求められる. 本研究では,これらの要件を満たす分娩予兆検知システムの構築法を提案し,その性能を調査する.【方法】提案するシステムは,分娩の予兆と平常状態の識別に寄与する情報を抽出する分娩予兆特徴抽出器と,抽出された特徴を入力として分娩の予兆か否かを判定する分娩予兆検知器から成る.分娩予兆特徴は,分娩前に見られる雌牛の状態(起立,臥床,尾の挙上)を識別する畳み込みニューラルネットワークの中間層出力である.このように,前段に特徴抽出器を配置することで,少量データに対する頑健性の向上(要件1),クラウドソーシングを用いたシステムの早期運用と効率的な改善の実現(要件2),分娩の兆候を検知した根拠の解釈(要件3)を可能とする.【結果】分娩房内にいる黒毛和牛種の監視映像データを用いて提案システムの分娩予兆検知性能を評価した.ここでは,10回の分娩映像に対して分娩24~27時間前を平常状態,3時間前までを分娩予兆状態と定義し,5回分を学習データ,残りの5回分を評価データとして用いた.その結果,提案システムは0.81の適合率,0.91の再現率で分娩予兆検知が可能であることが明らかになった.