日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[XIII-29-20_21] 管理・環境,畜産経営,動物介在(XIII-午後)

2019年3月29日(金) 14:00 〜 14:20 第XIII会場 (8号館8601講義室)

座長:竹田 謙一(信州大)

14:10 〜 14:20

[XIII29-21E] 黒毛和種牛における母子間の逃走反応の経年類似性

小針 大助1, 大高 南帆美1, 根來 千佳子2, 松田 朋丸2, 木戸 恭子3 (1.茨城大農, 2.茨城大院農, 3.農研機構畜産部門)

【目的】本研究では子牛の易馴致性に及ぼす母牛の性質との関連性を明らかにするため,母子間における対人反応の類似性とその年次間反復性ならびに年次間の子牛への影響について明らかにすることを目的とした.【方法】調査は2016年から2018年にかけて,茨城大学農学部附属FSCで飼育されていた黒毛和種牛の母子4組と農研機構山地放牧研究拠点で飼育されていた黒毛和種牛母子20組の計24組48頭で行った.対人反応は逃走距離で評価し,両調査地の放牧地にて,各個体3回ずつ測定した.各測定データは,中央値を算出し,年ごとに母子間での相関関係を見るとともに,年次間の親の逃走距離の相関ならびに同一親から生まれた子牛同士の年次間相関についても解析を行った.【結果】各個体の逃走距離は,概ね中央値±2mの範囲で,対人反応特性は母子とも比較的安定していた.全母子組間は各年とも強い正の相関関係が認められ(2016:R=0.769, P<0.0001;2017:R=0.789,P<0.00005),年次間の母牛の逃走距離にも強い相関関係が認められた(R=0.67,P<0.0005).さらに,同一母牛ら生まれた異なる年次の子牛同士の逃走距離にも正の相関関係が認められた(R=0.51 , P<0.011).以上より,母牛の対人反応特性は非常に安定しており,また子牛の対人反応にも影響を及ぼしている可能性が示唆された.