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[XIII29-23] 小規模草地における放牧牛の空間分布:草地内環境の空間変動との関係
【目的】本研究では,小規模な草地における放牧牛の空間分布を調査し,草地内環境の空間変動との関係について検討した.【方法】宮崎大学農学部附属住吉フィ−ルド内の試験草地(1.1 ha)において,2018年5~10月に各月4~5日間,黒毛和種牛群(成雌牛27~31頭,子牛9~15頭)がおよそ9時から16時まで放牧された.試験草地は休息場(0.4 ha)と1つの入口によって連結した.試験草地を9区画に分け,各月の放牧前草高と草種構成割合を測定した.成雌牛1~6頭にGPS首輪を装着し,放牧中の位置情報を収集した.各月の放牧初日における区画ごとの滞在時間と草地内環境に関する変数(バヒアグラス(BG)の割合,BGの草高,草地の入口からの距離)の関係をSpearmanの順位相関係数(rs)によって評価した.【結果】放牧牛の空間分布はいくつかの草地内環境の空間変動との間に関係がみられ,5,7,9,10月においてはBGの割合が低い場所ほど滞在が長くなった(rs = −0.73~−0.80,P < 0.05).また,有意ではなかったがBGの草高が低い場所ほど滞在が長くなる傾向が全ての月においてみられた(rs = −0.32~−0.57,P ≥ 0.1).一方,草地の入口からの距離は6月(rs = 0.65,P < 0.1)をのぞいて滞在時間との関係がみられなかった.