日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[XIII-29-25_26] 管理・環境,畜産経営,動物介在(XIII-午後)

2019年3月29日(金) 14:50 〜 15:10 第XIII会場 (8号館8601講義室)

座長:小泉 聖一(日大生資科)

14:50 〜 15:00

[XIII29-25] 自動搾乳機導入前後における繁殖や泌乳成績の変化 ~草地酪農地域の一酪農場の調査事例から~

猫本 健司, 藤田 睦樹 (酪農大農食環境)

【目的】自動搾乳機(搾乳ロボット)の導入にともなって,乳量や乳質の向上や乳脂肪の低下が見受けられるといった話が聞かれる.しかし,草地酪農地域では実際にどのような影響があるかは報告がなされていない.そこで本研究では,自動搾乳機導入前後における個体別乳用牛検定成績表を用いて分析を実施した.
【方法】調査対象は,2016年12月に自動搾乳機を1機導入した北海道道東地方の一酪農場とした.同酪農場の搾乳頭数は94〜100頭,そのうち自動搾乳機の利用頭数は44〜51頭であった.解析項目は,泌乳持続性,ピーク乳量,乳脂肪,無脂固形分,乳蛋白,乳糖,体細胞数,空胎日数とした.解析対象牛は自動搾乳機導入時に2産以上で,導入後に1回以上の周産期を経過した24頭である.
【結果】自動搾乳機の導入前後において,1%水準で有意な変化が認められた項目は,ピーク乳量と乳糖であり,ピーク乳量の平均値は40.9㎏から46.1㎏へ13%増加,乳糖(同)は4.45%から4.56%に増加した.5%水準で有意な変化が見られたのは,無脂固形分,乳脂肪,空胎日数であり,無脂固形分の平均は8.76%から8.93%に増加,乳脂肪(同)は3.92%から3.67%に減少し,空胎日数(同)は125日から191日へ著しく延び,繁殖成績の低下が認められた.一方,泌乳持続性や乳蛋白,乳質(体細胞数)には,有意な変化は認められなかった.