日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[XIV-29-10_12] 畜産物利用(XIV-午前)

2019年3月29日(金) 10:30 〜 11:00 第XIV会場 (8号館百周年記念ホール)

座長:西山 啓太(北里大薬)

10:40 〜 10:50

[XIV29-11] Lactobacillus gasseri LA327が生産する二成分性バクテリオシン、ガセリシンSは増殖する菌体のみを殺菌する

春日 元気, 長嶋 曜, 原田 悠暉, 川井 泰, 増田 哲也 (日大院生資科)

【目的】先行研究において,Lb. gasseri LA327が生産するガセリシンS(GS)は,MRS培地と混合時にのみ殺菌作用を示し,増殖する菌体を選択的に殺菌する可能性が示唆された.本研究では,静菌状態の菌体に対するGSの抗菌性を試験し,GSが殺菌作用を示す条件についてさらなる検証を試みた.【方法】GS生産株およびバクテリオシン非生産株の培養上清(GS上清およびコントロール上清)をMRS培地と混合し,指標菌に対して4℃で感作,または静菌剤(エリスロマイシン:Em)を添加して37℃で感作後,生菌数を比較した.GS上清を4℃および37℃で指標菌に感作後,回収上清における残存活性からGSの付着率を比較し,さらに感作菌体からGSの再抽出を試みた.【結果】低温感作時はGSの殺菌性が完全に阻害され,Emとの併用時には殺菌作用を示したが,Em非添加時と比べて菌数の減少は緩慢であった.したがって,GSはMRS培地成分の有無や感作温度に関係なく,増殖の停止した菌体は殺菌しない可能性が示唆された.また,どちらの感作温度でもGSの付着性には差が認められなかったが,4℃感作菌体ではPBSを用いた洗浄でGSが容易に再抽出され,GSは増殖菌体の特異的なレセプターへ結合する可能性が考えられた.