日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[XIV-29-10_12] 畜産物利用(XIV-午前)

2019年3月29日(金) 10:30 〜 11:00 第XIV会場 (8号館百周年記念ホール)

座長:西山 啓太(北里大薬)

10:50 〜 11:00

[XIV29-12] ナイシン生産性Lactococcus lactisの新規自己耐性タンパク質の機能検討

山戸 泰成, 川井 泰, 増田 哲也 (日大院生資科)

【目的】乳酸菌バクテリオシン(抗菌ペプチド)であるナイシンA(ナイシン)は食品保存剤として広く利用されている.一般的にバクテリオシン生産菌は,自身が生産したバクテリオシンから自身を守る自己耐性タンパク質を保有している.ナイシン生産菌に関しては,細胞膜上に存在するNisIが菌体外のナイシンを捕捉し,NisF,NisE,NisGによる複合体がトランスポーターとしてナイシンを菌体外へ排出する2つの機構が知られている.また,ナイシンの生産は,細胞膜上に存在するヒスチジンキナーゼNisKへの付着を含む3成分制御系により制御されている.本研究では,ナイシンの付着に関与するNisKの自己耐性への関与について検討した.【方法】各遺伝子導入株(NisI,NisK,およびNisFEG)を作製し,ナイシンを感作後の生菌数を測定した.また,ナイシンを感作した菌体上清の残存活性値からナイシンの菌体付着量を推定した.【結果】ナイシンを感作させたNisFEG導入株では生菌数の減少が確認されたが,NisI導入株およびNisK導入株においては生菌数の減少は確認されなかった.また,ナイシンの各推定菌体付着量は全ての菌株で同程度であった.これらのことから,ヒスチジンキナーゼであるNisKは,ナイシンの付着による生産制御のみでなく,自己耐性にも関与している可能性が考えられた.