[II-15-02] 生存時間解析によるホルスタインの体型形質と長命性の遺伝的関係
目的：本分析は生存時間解析を利用してホルスタインの体型形質と長命性との遺伝的関係を調査した。方法：データは北海道における牛群検定記録において2010年4月から2021年3月までの期間で産次の欠測がなく、初産時の体型審査記録を持つ雌牛を抽出した後、体型形質の標準化育種価(SBV)を結合した。SBVは-1.5以下、-1.4～-0.5、-0.4～0.4、0.5～1.4および1.5以上の5クラスに区分された。各SBVクラスにおける淘汰のリスク比を推定し最もリスクが小さいクラスを1.00とした。分析プログラムはSurvival Kit 6.12(Ducrocqら)を使用した。本分析ではモデルに表型値の代替として育種価を考慮した。結果：最もリスク比が大きかった形質は乳房の深さ(1.65)であり、乳房形質においては乳房の付着(1.53)および後乳房の高さ(1.33)がこれに続いた。これらの形質はSBVが高いほどリスク比が小さかったことから、付着が強く浅い乳房が遺伝的に淘汰されにくい形状であることが示唆された。一方、体の大きさに関する形質(高さ、胸の幅、体の深さおよび坐骨幅)は乳房形質に次いでリスク比が大きく(1.15～1.36)、SBVが高いほどリスク比が大きかったことから、体が大きい牛ほど淘汰のリスクが高いことが示唆された。肢蹄に関する線形形質は長命性との関連が小さかった(1.02～1.12)。