日本畜産学会第129回大会

講演情報

優秀発表賞応募講演

優秀発表賞演題

優秀発表3

2021年9月14日(火) 09:30 〜 11:00 優秀発表応募演題3 (オンライン)

座長:磯部 直樹(広大院生物圏)、本田 和久(神戸大院農)、辰巳 隆一(九大院農)、宮口 右二(茨城大農)

[IIIYS-04] 一酸化窒素合成を介したLactobacillus helveticus発酵乳ホエーの降圧作用

*清水 璃子1、黒川 展頌1、高木 康太1、林 利哉1、長澤 麻央1 (1. 名城大院農)

【目的】高血圧とは安静状態の血圧が高すぎる状態のことをいい、生活習慣の乱れなどが原因とされている。血圧上昇メカニズムとして、レニン・アンジオテンシン系がある。ACEを阻害することで血圧上昇を抑制できるため、ACEが高血圧治療のターゲットにされるが、空咳などの副作用に苦しむ患者も多い。そこで本研究では、Lactobacillus helveticus発酵乳のホエーが有するACE阻害を介さない降圧メカニズムの解明を目的とした。【方法】発酵乳ホエー(20 mg/kg)あるいは蒸留水(10 ml/kg)の経口投与を行った55分後に、アンジオテンシンⅡ(AngⅡ;0.1 mg/kg)あるいはAngⅡ(0.1mg/kg)とL-NAME(一酸化窒素合成阻害薬;5.0 mg/kg)の混合溶液を腹腔内投与し、その5分後から血圧測定を行った。次に、発酵乳ホエーに含まれる遊離のL-アルギニン濃度と同濃度のL-アルギニン溶液を経口投与した55分後にAngⅡを腹腔内投与し、血圧測定を行った。【結果】発酵乳ホエーの経口投与によって高血圧症状は緩和されたが、L-NAMEの同時投与によって発酵乳ホエーの降圧作用は消失した。また、L-アルギニン溶液の投与によって高血圧状態は緩和されなかった。以上より、発酵乳ホエーの降圧作用はNOSを活性化させることでNO合成が促進されることに起因する可能性が示された。