日本畜産学会第129回大会

講演情報

口頭発表

4. 形態・生理

形態・生理1

2021年9月15日(水) 08:40 〜 12:00 形態・生理 (オンライン)

座長:小笠原 英毅(北里大獣医)、室谷 進(農研機構畜産部門)、松崎 正敏(弘前大農学生命)、小林 謙(北大院農)、磯部 直樹(広大院生物圏)、鈴木 裕(北大院農)

[IV-15-04] 放牧飼養したDouble-muscled日本短角種の大腿二頭筋における脂肪滴含有筋線維およびCD36の発現

*藤本 玲奈1、原島 佑紀1、野原 香菜1、高橋 辰行1、黒瀬 陽平1、小笠原 英毅1 (1. 北里大獣)

【目的】放牧飼養された肉用牛の筋線維型構成は遅筋型に移行し、筋線維内に小型の脂肪滴が蓄積すること(脂肪滴含有筋線維)、脂肪滴含有筋線維は脂肪酸トランスポーターであるCD36と共局在することが報告されている。前回大会において、放牧飼養するDouble-muscled日本短角種(DMJ)は脂肪滴含有筋線維が増加する一方、速筋型であるⅡB型の構成割合が高いことを報告した。本研究では、放牧飼養したDMJの大腿二頭筋におけるCD36の発現を解析した。
【方法】供試動物はDMJホモおよびヘテロ型去勢雄(各1頭)、通常日本短角種(NJ:4頭)を5月末から10月末まで放牧飼養し、放牧開始前、中期および後期にバイオプシー法で大腿二頭筋近位部を採取した。その後、組織化学的手法を用い、筋線維型構成割合と共に脂肪滴含有筋線維およびCD36の発現割合を算出した。
【結果】DMJホモおよびヘテロ型のCD36の発現はNJと同様に、筋線維の細胞膜に発現し、その筋線維型は遅筋型に限局された。CD36の発現割合は時期に関わらずホモ型、NJで約40%、ヘテロ型では約50%であった。脂肪滴含有筋線維は時期に関わらずヘテロ型はNJと同程度、ホモ型は両者より低い発現割合だった。全ての個体でCD36が発現する筋線維にのみ脂肪滴が蓄積された。以上より、DMJにおいてもCD36を介して筋線維内に脂肪滴が蓄積される可能性が示唆された。