日本畜産学会第129回大会

講演情報

口頭発表

4. 形態・生理

形態・生理1

2021年9月15日(水) 08:40 〜 12:00 形態・生理 (オンライン)

座長:小笠原 英毅(北里大獣医)、室谷 進(農研機構畜産部門)、松崎 正敏(弘前大農学生命)、小林 謙(北大院農)、磯部 直樹(広大院生物圏)、鈴木 裕(北大院農)

[IV-15-17] ウマ赤血球浸透圧脆弱性の変動に関する研究

*千葉 恭平1、原 ひろみ2、平野 貴2、半澤 惠2 (1. 東京農業大学大学院農学研究科、2. 東京農業大学農学部動物科学科)

【目的】健常な軽種馬に認められた赤血球浸透圧脆弱性の個体差の原因を解明する一助として,赤血球の一般性状との関係を調査した.
【材料及び方法】】軽種馬5頭(個体Ⅰ〜Ⅴ)から2週間に一度,7〜16回採取した頸静脈血を供試し,低張食塩水に対する溶血率(HL)及び一般性状(日本光電MEK6558)を測定した.
【結果】各個体のHLと一般性状を比較すると,HL:Ⅰ=Ⅱ≤Ⅲ≤Ⅳ≤Ⅴ;RBC:Ⅳ≤Ⅰ=Ⅴ≤Ⅱ<Ⅲ;
Ht:IV≤Ⅱ=Ⅴ=Ⅰ≤Ⅲ ;Hb:Ⅳ=Ⅴ≤Ⅰ=Ⅱ≤Ⅲ;MCV:Ⅲ≤Ⅱ≤Ⅴ≤Ⅳ<Ⅰ;MCH:Ⅴ≤Ⅱ=Ⅲ≤Ⅳ≤Ⅰ; MCHC:n.s.であった.また, MCVを除く一般性状のCVは,Ⅱ=Ⅲ=Ⅳ<Ⅰ=Ⅴであった.一方,HLと一般性状の相関は,全個体平均値:n.s.;:正 MCH・MCHC;:n.s.;:負 RBC・Ht・Hb;:負 Hb;:負 RBC・Ht・MCV,正 MCH・MCHCであった.
【考察】脾臓赤血球の流入はHLの個体内変動に関与し,また,末梢赤血球の量や容積はHLを低下させ,逆に密度はHLを増加させることが示唆された.しかし,HLと一般性状の間に相関を認めない個体もおり,HLの個体差に関与する要因が他にも存在することが示唆された.今後は容積・形態変化,膜蛋白質・脂質組成,酸化還元能などを比較解析する予定である.