日本畜産学会第129回大会

講演情報

優秀発表賞応募講演

優秀発表賞演題

優秀発表1

2021年9月14日(火) 09:30 〜 11:00 優秀発表応募演題1 (オンライン)

座長:櫛引 史郎(農研機構畜産研究部門)、熊谷 元(京大院農)、上野 豊(信州大農)、塚原 隆充(栄養・病理研)

[IYS-05] スポット法による乳牛の栄養生理状態モニタリングの可能性

*及川 康平1、神谷 裕子1、鈴木 知之1 (1. 農研機構畜産部門)

【目的】近年、低メタン(CH4)牛への育種改良に適応可能な多頭数でのCH4排出量測定のために、ウシ呼気部分サンプルのガス濃度組成からCH4排出量を推定する試み(スポット法)が行われている。本研究では、スポット法により得られるウシ呼気の波形情報に着目し、乳牛の栄養生理状態モニタリングの可能性を検討した。【方法】同一のPMRを摂取する、のべ45頭の泌乳牛(搾乳日数116日、産次1.9産)を対象として、搾乳ロボット滞在中のCH4および二酸化炭素(CO2)濃度をスポット法により測定した。得られたCH4/CO2比の波形からCH4/CO2比平均値、各ピークの上下端差の平均値(ピーク振幅)、および単位時間あたりのピークの発生回数(ピーク頻度)を算出し、平均値、反復率、および相関を調べた。また、栄養状態との関係を探るために、乳量、採食量、および飼料効率との相関を調べた。【結果】CH4/CO2比平均値、ピーク振幅、およびピーク頻度の平均値±標準偏差はそれぞれ0.07±0.01 (ppm/ppm)、0.09±0.03(ppm/ppm)、および1.15±0.17(回/分)であった。反復率はそれぞれ0.63、0.62、および0.43であり、スポット法によってあい気パターンの個体間差を検出できることが示唆された。さらに飼料効率に関して、ピーク振幅との間に負の相関、ピーク頻度との間に正の相関がみとめられた。