日本畜産学会第129回大会

講演情報

口頭発表

5. 畜産物利用

畜産物利用1

2021年9月15日(水) 08:50 〜 12:00 畜産物利用 (オンライン)

座長:水野谷 航(麻布大獣)、有原 圭三(北里大獣医)、小宮 佑介(北里大獣医)、下里 剛士(信州大)、荒川 健佑(岡山大院環境生命)

[V-15-04] 黒毛和種筋間脂肪のモノ不飽和脂肪酸割合が枝肉単価に及ぼす影響

*野村 凪沙1、阿佐 玲奈2、口田 圭吾1 (1. 帯畜大畜産、2. オールジャパンブリーダーズサービス)

【目的】近年、和牛生産において脂肪酸組成が注目されている。黒毛和種の脂肪酸組成が枝肉単価に及ぼす影響を調査した。【方法】2013~2020年に枝肉市場に出荷された黒毛和種3,059頭を用いた。広背筋、腹鋸筋および前背鋸筋で囲まれた筋間脂肪約10㎎を採取し、GC法により脂肪酸組成を測定した。C14:1、C16:1およびC18:1が脂肪酸に占める割合をMUFA%とし、5%刻みで分類した(4区分)。相場変動を考慮するために、各市場開催日(129回)の黒毛和種A4去勢牛の平均単価との差を補正枝肉単価とし、肉質等級別に分散分析を実施した。【結果】出荷年別の最小2乗平均値は2013年で61.2%、2020年で59.3%と年々減少していた。出荷月齢のそれは26ヵ月以下で59.1%、32ヵ月以上で61.1%と月齢が進むに連れ徐々に上昇した。BMSナンバー別ではナンバー8でピークとなった(61.3%)。MUFA%との相関係数はBFSナンバーが最も高く(0.29)、皮下脂肪厚が0.19、新細かさ指数が-0.11、補正枝肉単価は-0.06であった(P<0.01)。MUFA%が最も低い区と最も高い区との価格差は2、3、4および5等級でそれぞれ170.6、76.5、25.2および-55.1円となり、2、3および5等級においては有意であった(P<0.05)。MUFA%が高いほど5等級では低単価になった。