日本畜産学会第129回大会

講演情報

口頭発表

5. 畜産物利用

畜産物利用1

2021年9月15日(水) 08:50 〜 12:00 畜産物利用 (オンライン)

座長:水野谷 航(麻布大獣)、有原 圭三(北里大獣医)、小宮 佑介(北里大獣医)、下里 剛士(信州大)、荒川 健佑(岡山大院環境生命)

[V-15-05] 食肉の風味を構成する呈味性化合物群の分画およびメタボローム解析

*森川 里久1、良永 裕子1、齊藤 千佳1、澤野 祥子1、竹田 志郎2、水野谷 航2 (1. 麻布大生命環境、2. 麻布大獣)

[目的]食肉を食味評価する際の化学因子として味と香りがある。食肉の味に関する成分には、遊離アミノ酸、核酸関連物質、有機酸、ペプチドなどがよく知られており、これらの中でも遊離アミノ酸および核酸関連物質が食肉の味の重要な成分と考えられている。しかしこれらは食肉以外の食品にも多数含まれていることから、食肉の風味を特徴付ける呈味性化合物は遊離アミノ酸や核酸関連物質以外にも存在すると考えられる。そこで本研究は肉の熱水抽出物のカラムクロマトグラフィ分画物の官能評価とメタボローム解析を組み合わせることで、食肉の風味を構成する化合物群を新規に見出すことを目的とした。[方法]我々は食肉(牛モモ肉,あるいは 牛ヒレ肉)の熱水抽出物を中圧カラムクロマトグラフィで分画し、TLC によって化合物の分離を確認するとともに各画分の簡易の官能評価を行い、食肉らしい風味が強い画分を検索した。さらに、主だった画分のメタボローム解析を行った。[結果]官能評価が異なる画分では含有物質に大きな違いが認められ、特に食肉らしいと評価された画分では約60の化合物が検出された。その中には遊離アミノ酸以外の物質も多数含まれており、それらが食肉の呈味性へ影響を与えるか今後検討していく。本研究より、食肉の風味に影響を与えている遊離アミノ酸や核酸関連物質以外の化合物の存在の可能性が示された。