日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養1

2022年9月16日(金) 09:00 〜 12:00 Zoom会場1 (オンライン)

座長:梶川 博(日本大生物資源科学)、三森 眞琴(農研機構畜産研究部門)、神谷 充(農研機構中央農研)、福間 直希(帯広畜産大学)、杉野 利久(広大院生物圏)

09:10 〜 09:20

[I-16-02] 低メタン産生牛に特徴的な新規Prevotella属細菌の特性評価

*真貝 拓三1、池山 菜緒2、熊谷 真彦3、瀧澤 修平1、大森 英之1、坂本 光央2、大熊 盛也2、三森 眞琴1 (1. 農研機構 畜産研究部門、2. 理研JCM、3. 農研機構 分析研)

【目的】ルーメン発酵から生じるメタンは温室効果ガスの主要な発生源の一つである。私たちは牛の個体差に着目し、メタン産生の少ない乳用牛個体が高プロピオン酸産生であることやルーメン微生物相の特徴を明らかにしてきた。本発表では、低メタン産生牛に特徴的に存在するPrevotella属細菌を分離培養化し、その基質利用性や発酵産物の特徴を明らかにする。
【方法】農研機構畜産研究部門が所有する低メタン産生牛から採取した第一胃内容液を分離源にロールチューブ法により細菌株を分離した。分離株の全ゲノムを解読し、分離株間のゲノム相同性やゲノム配列を比較した。基質利用性、および発酵産物をそれぞれAPIテスト、およびPYG培地を用いた培養試験により比較評価した。
【結果】低メタン産生牛に特徴的に存在するPrevotella属の16S rRNA遺伝子配列に合致する細菌株を11株分離した。ゲノム相同性により分離株は3種類に分かれたが、キシロース利用性など基質利用性は菌株により異なった。グルコースを基質として培養すると、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酢酸、およびギ酸を生成した。コハク酸、リンゴ酸、および乳酸の3種類を合計したプロピオン酸前駆物質の生成割合は既知のルーメン内Prevotella ruminicolaと比較して13-20%高く、低メタン産生牛での高プロピオン酸濃度に寄与している可能性が考えられた。