日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養1

2022年9月16日(金) 09:00 〜 12:00 Zoom会場1 (オンライン)

座長:梶川 博(日本大生物資源科学)、三森 眞琴(農研機構畜産研究部門)、神谷 充(農研機構中央農研)、福間 直希(帯広畜産大学)、杉野 利久(広大院生物圏)

09:30 〜 09:40

[I-16-04] 肥育牛におけるメタン/二酸化炭素比を利用した新規メタン排出量推定式の評価

*及川 康平1、鈴木 知之1、神谷 裕子1、樋口 幹人1、山田 知哉1、神谷 充1、寺田 文典1 (1. 農研機構畜産部門)

【目的】近年多頭数を対象としてメタン(CH4)排出量の個体差を測定するために呼気中のCH4と二酸化炭素(CO2)の濃度比(CH4/CO2比)に基づくCH4排出量推定法の開発が試みられている。本研究では肥育牛を対象に提案された新規CH4排出量推定式(気候変動緩和コンソ2022)の推定能力を既存の推定式と比較し、新規式の有効性を検証した。【方法】肥育牛8頭にそれぞれ粗濃比の異なる飼料を給与し、呼気ガスをヘッドボックスで測定した。新規式:CH4=推定酸素消費量×推定呼吸商×実測CH4/CO2比の推定能力を既存式A:CH4=−17.766+42.793×乾物摂取量(DMI)−0.849×DMI2(Shibataら1993)および既存式B:CH4=−676.7+0.04194×体重+29.88×DMI+7.883×可消化養分総量+4.367×粗飼料比(Uemotoら2020)と比較した。【結果】推定式の決定係数は式A<式B<新規式の順であった。また、残差(実測値−推定値)とCH4/DMI間の相関係数で、式AではCH4/DMIとの間に正の相関(P<0.05)、式BではCH4/粗飼料DMIとの間に正の相関があった一方、新規式で有意な相関はなかった。以上より、新規式では既存式より推定精度が良く、CH4/DMIに対して偏りのない推定が可能であることが示唆された。