日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養2

2022年9月16日(金) 13:00 〜 17:00 Zoom会場1 (オンライン)

座長:黒澤 亮(東京農大)、泉 賢一(酪農大農食環境)、河合 正人(北大FSC)、塚原 隆充(栄養・病理研)、川瀬 貴博(栄養・病理学研究所)、石川 翔(兵庫淡路農技セ)、熊谷 元(京大院農)、平山 琢二(石川県大生物資源)

14:00 〜 14:10

[I-16-24] 抗コクシジウム剤の代替としてのWeizmania coagulans SANK70258の増体メカニズムの検証

*相田 正典1、山田 良一1、松尾 俊輝1、谷口 格1、鳥居 久義1、中村 進一2、塚原 隆充2 (1. 三菱ケミカル、2. 栄養病理研)

【目的】コクシジウム感染症 (CD) は腸管炎症等を誘導し、家畜の増体を抑制する。我々は日本家禽学会2022年度春季大会にて、CD鶏を用いた評価により、生菌剤Weizmania coagulans SANK70258 (WC) が抗コクシジウム剤 (AM) の代替物として有効であることを報告した。本発表ではその有効性のメカニズムを検証した。
【方法】先に行った試験で、生産成績改善および腸管内oocyst数低減効果が顕著であったWCを0.03% (w/w) 給与した群、無添加対照群およびAM投与群の29日齢における腸管内容物および組織を実験に供した。すなわち、腸管内容物中の各種菌数をqPCR法で、小腸における抗炎症/炎症性サイトカインの遺伝子発現量をΔΔCt法で比較した。
【結果】盲腸内容物中の総菌数に比する大腸菌数の割合は、対照と比較してAMで有意に高値を示し、また同変化に付随して回腸におけるIL1βの発現量が増加することが示された。一方、IL10の遺伝子発現量は対照と比較してWCで有意に高値を示した。
【考察】これまでにCDによる体重減少の改善効果はAMと比較してWCで高いことを報告した。本試験結果から、AMでは腸内大腸菌数の増加およびIL1βの発現誘導を介した腸管での炎症亢進が増体を律速させている可能性、ならびにWCではIL10の発現誘導を介した抗炎症作用が増体促進に関与している可能性が考えられた。