日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養2

2022年9月16日(金) 13:00 〜 17:00 Zoom会場1 (オンライン)

座長:黒澤 亮(東京農大)、泉 賢一(酪農大農食環境)、河合 正人(北大FSC)、塚原 隆充(栄養・病理研)、川瀬 貴博(栄養・病理学研究所)、石川 翔(兵庫淡路農技セ)、熊谷 元(京大院農)、平山 琢二(石川県大生物資源)

15:20 〜 15:30

[I-16-32] 黒毛和種牛における暑熱期のトレハロース給与がルーメン微生物叢へ与える影響

*森田 康広1、向山 晃永2、井上 清詞2、向井 和久3、松山 秀一2、大蔵 聡2 (1. 帯畜大獣、2. 名大院生命農、3. 株式会社林原)

目的】 乳牛において暑熱ストレスとルーメン微生物叢、生産性との関連が報告されている。また、先行研究においてトレハロース給与はルーメン微生物へ影響を与えることが報告されている。本研究では、黒毛和種牛における暑熱環境下でのルーメン微生物叢の変化、およびトレハロース給与の効果を明らかにすることを目的とした。 【方法】 実験は夏季に発情同期化を行った黒毛和種未経産牛6頭を3頭ごとの群(対照群[C] およびトレハロース給与群 [T])に分け、T群には夕方の給餌に合わせ、トレハロース給与を11週間行った。給与開始時および終了時にルーメン液中の微生物叢解析、メタボローム解析を行った。 【結果】 ルーメン細菌叢解析により、暑熱期の11週間の飼育後にC群では1%以上の割合で検出された細菌群の内5種が変化していた。一方、T群における細菌群の変化は2種であり、脂肪酸産生に関わるPrevotella属細菌が顕著に増加した。また、原虫叢解析ではC群では2種変化していたが、T群では有意な変化がみられなかった。ルーメン液中のメタボローム解析では、C群では代謝産物組成が大きく変化した一方、T群では実験開始時と同様に維持されていた。以上より、暑熱期においては、ウシのルーメン微生物叢は変化するが、トレハロースの給与により、その変化が抑制されること、また不飽和脂肪酸の生成が増加し、暑熱期のエネルギー供給に有益に働くことが示唆された。