日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

3. 繁殖・生殖工学

繁殖・生殖工学2

2022年9月16日(金) 13:30 〜 14:30 Zoom会場3 (オンライン)

座長:川島 千帆(帯畜大畜産)、武田 久美子(農研機構畜産部門)、原 健士朗(東北大学・大学院農学研究科)

14:00 〜 14:10

[III-16-18] ブタ精子への100MPa加圧における卵黄の保護効果

*高月 颯1、小林 小林吉倫1、濱野 光市1、古屋 元宏2、藤田 智之1、髙木 優二1 (1. 信州大学大学院 総合理工学研究科 農学専攻、2. 山梨県畜産酪農家技術センター)

【目的】ブタ人工授精は現在でも液状精液が一般に利用されている。我々は水深1万メートルの水圧に相当する100MPaの加圧処理をブタ精子の保存に利用出来ないか検討してきた。その中で、加圧処理時の液成分により精子活力への影響が異なることが明らかとなった。そこで本研究では、100MPa加圧時の精漿成分の有無、加圧温度および卵黄添加の影響について報告する。【実験】精液は200μlチューブに分注し、まるごとエキス(東洋高圧)により静水圧100MPaで1時間加圧し、精漿成分の有無、加圧温度の影響について評価した。遠心洗浄にて精漿成分を除去し、10%卵黄、1%卵黄LDL、1%卵黄タンパク質をそれぞれ添加し、卵黄添加の影響を評価した。また同液で6日間15℃に保持し保存への影響を評価した。【結果】精漿成分が含まれると加圧後の活力低下を抑制した。15℃あるいは35℃で加圧すると著しく活力が低下したが、25℃では低下しなかった。10%卵黄添加は加圧後の活力低下と先体損傷が抑えられた。卵黄抽出物の添加では、1%卵黄タンパク質で10%卵黄添加と同様の効果が認められた。また6日間の保存においても加圧と同様の傾向が認められた。以上のことから、精漿および卵黄タンパク質に精子を保護する成分が含まれていること、100MPa加圧により保存液の影響をより厳密に評価できる可能性が示された。