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[III-16-20] 精子個別運動性データの主成分分析による若齢牛由来凍結精液の受胎性予測の試み
【目的】若齢雄牛における受胎性予測法の確立は、種雄牛の選抜期間の短縮に有効と期待できる。我々は、精液の運動性の特徴を数値化する新たな手法の開発を目指し、精子運動解析装置(CASA)で得られた個々の精子の運動計測値の活用を検討してきた(日本繫殖生物学会、2021)。本検討では、主成分分析(PCA)による運動性評価結果と受胎性との関連を評価した。【方法】人工授精による受胎率の判明している若齢牛7頭(20~35か月齢)の凍結-融解精液各1ロットの運動計測値を解析に用いた。精液の運動性はCASA(SMAS、DITECT)により計測し、186~366個/頭の精子について直線速度、曲線速度、平均速度、頭部振幅、頭部振動数(BCF)の値を得た。PCAによる主成分値を基準に受胎率の高低を判定し、Leave one out法により7回の交差検証を行った。【結果】PCAの結果、第1主成分(PC1)の寄与率は0.73~0.75と高く、第2主成分(PC2)は0.18~0.20であった。PC1の固有ベクトルはBCFを除く4項目でほぼ同様の正の値を示し、PC2はBCFのみ大きな正の値を示した。PC1の値を基準とした場合、7回の交差検証の全てで受胎率の高低の判別結果が妥当であった。今後、受胎性予測への利用に向けて、個々の精子の運動計測値を用いたPCAによる総合的な指標について検討を進める。