日本畜産学会第130回大会

講演情報

優秀発表賞応募講演

優秀発表賞応募講演

優秀発表賞応募講演3(畜産物利用、畜産経営)

2022年9月15日(木) 09:00 〜 10:45 Zoom会場3 (オンライン)

座長:若松 純一(北海道大学)、中村 正(帯畜大生命・食料)、福田 健二(帯広畜産大学)、小澤 壯行(日獣大応用生命)

10:00 〜 10:15

[IIIYS-05] 乳酸菌のsmall RNA ffs-LはJAK-STAT経路を介してマクロファージのサイトカイン産生を抑制する

*中島 勇貴1、大貫 琴音2、福地 雄大2、日比 友之2、安田 伸1,2、木下 英樹1,2 (1. 東海大院生科、2. 東海大院農)

【目的】 タンパク質をコードしないsmall RNA(sRNA)の機能が注目されているが乳酸菌のsRNAについては殆ど分かっていない。そこで本研究では乳酸菌のsRNAが宿主の免疫細胞に与える影響を明らかにすることを目的とした。
【方法】 18hおよび36h培養したPediococcus pentosaceus TOKAI 10m(TK 10m)のsRNAをマクロファージ細胞に添加し、ELISA法でサイトカイン量、ウェスタンブロッティングにて転写活性因子を評価した。また、同定したsRNA配列によるサイトカイン産生抑制と、リアルタイムPCRで標的予測遺伝子の発現を評価した。
【結果と考察】 Total sRNA添加でIL-6とIL-10の濃度依存的な抑制が確認され(p<0.05)、36h培養ではSTAT3とERKのリン酸化の有意な抑制が確認された(p<0.01)。さらに、sRNA ffsの断片配列(ffs-L)添加でIL-6とIL-10の抑制が(p<0.01)、Total sRNA添加でAgo-2の増加とGm-csfの抑制が確認された(p<0.01)。本結果よりffs-LがAGO2を介してGm-csfとJAK-STAT経路を抑制し、サイトカイン産生を抑制する可能性が示された。本試験で初めて乳酸菌sRNAの免疫調節作用とその作用分子が明らかとなった。