10:40 〜 10:50
[IV-16-11] 肉用鶏胚培養細胞における筋からの骨へのクロストーク機構に関する研究
<目的>筋と骨は、液性因子を介した相互作用の存在が示唆されてきている。本研究では、肉用鶏胚の培養筋芽細胞のconditioned medium(CM)を用いて骨芽細胞の培養を行い、筋から骨へのクロストーク機構の解明を試みた。<方法>①筋芽細胞由来のCM調整:肉用鶏胚の胸筋から筋系細胞を採取して培養し、筋細胞分化マーカー遺伝子のmRNAの発現量の相違をqPCR法で比較し、培養開始後3日目(筋芽細胞: MB)と7日目(筋管細胞:MT)のCMをそれぞれ回収した。②骨芽細胞の培養:肉用鶏胚の頭蓋冠由来の骨形成系細胞を培養した。培養液には、各CMを25%添加し、それぞれMB区ならびにMT区とした。また、細胞を培養していない培地を添加したものを対照区とした。培養後、ALP活性を検出し、骨芽細胞分化マーカー、骨形成マーカーならびに破骨細胞の分化誘導マーカー遺伝子のmRNA発現量の相違をqPCR法により比較した。<結果>培養細胞は、培養後対照区ならびに両試験区においてALP活性陽性を示した。また、両試験区において骨芽細胞分化マーカーmRNAの発現量が対照区と比較して高かったが、骨形成マーカーについては低く、RANKLについても同様に低かった。以上より、肉用鶏の筋由来の因子が骨芽細胞の分化を促進するものの、骨形成を抑制することが示され、筋から骨へのクロストーク機構の存在が示唆された。