日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

5. 畜産物利用

畜産物利用1

2022年9月16日(金) 09:00 〜 12:00 Zoom会場5 (オンライン)

座長:島田 謙一郎(帯畜大)、舩津 保浩(酪農大食と健康)、江草 愛(日獣大応用生命)、竹田 志郎(麻布大獣医)、福田 健二(帯広畜産大学)

09:40 〜 09:50

[V-16-05] ラットをモデルにした野生鳥獣の集約解体のための急速凍結技術の予備検討

*西田 香子1、竹田 志郎1、水野谷 航1 (1. 麻布大院獣)

【背景】野生鳥獣肉(ジビエ)の利用が進まない原因として、輸送の手間や作業従事者の不足等が挙げられる。これらの問題を解決するために急速凍結技術に着目した。急速凍結を行えば、食品の品質劣化を防ぎ捕獲した野生鳥獣を一度にまとめて解体できるので、作業の効率化と解体コストの削減が期待できる。本研究では豚肉のブロックとラットを用い、急速凍結の有効性の検討を行った。 【⽅法】―20℃の冷凍庫で静置したものを緩慢凍結、―20℃に冷やしたアルコールブライン液に浸漬したものを急速凍結とした。初めに豚肉ブロック約300 gの凍結中の中心温度変化を測定した。次にラットを断頭し放血した後、各凍結処理を行った。解凍後、ラットの解体とと体の状態を5段階で主観評価した。解体直後のラット肉片の理化学的特性と4℃で3週間貯蔵後の一般生菌数を測定した。 【結果・考察】豚肉ブロックの緩慢凍結では最大氷結晶生成帯を通過するのに160分以上かかったが、急速凍結では45分以内に通過した。凍結させたラット枝肉は、主観評価で筋肉や結合組織の硬さ等に多少の差はあったものの、緩慢、急速凍結ともに未凍結と同様に解体できた。ラット肉片は未凍結と比べると両凍結区で剪断力価と水分含量と遠心保水性で低下が見られたが、急速と緩慢間の差は色調でわずかに見られる程度で、多くの項目で差はなかった。また、一般生菌数は全実験区で約103 cfu/gと低かった。