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[V-16-11] 鶏肝臓麹を用いて調製した鶏醤の品質特性
【目的】近年, 鶏肉は消費者の健康志向と価格が豚肉より安価なため需要が高まっている. しかし, 肝臓は独特の臭みのため消費者の嗜好が分かれ需要が低い. 本研究では肝臓麹 (LK) を用いて鶏醤を調製し, 最終製品の品質を市販製品 (鶏醤) のそれと比較した.【方法】臭み除去のため1%乳酸+1%NaCl溶液に肝臓を浸漬し, 15分間蒸して放冷後, 粉状の種麹菌AOK139 (秋田今野商店) を米粉で増量し, 肝臓全体になじませて26℃で40時間培養し, LKを製造した. 主原料の肝臓は水洗し, 85℃で30分間加熱後に細切した. 2Lのガラス容器に細切肉, 水, 加熱時に生じたエキス, 食塩及び市販酵素剤 (スミチームLP50, 新日本化学工業) を添加した. LKと市販米麹 (RK) 添加区に醤油用乳酸菌 (T. halophilus, 秋田今野商店) と醤油用酵母 (Z. rouxii, 秋田今野商店) 及び両者を接種し, 32℃で20週間発酵させた. 酵母は発酵開始1週目に接種した. 発酵終了後, 火入れ・ろ過を行い最終製品とした. 各種製品の色調, 化学成分及び呈味特性を調査した.【結果】LK添加区の全窒素分と無塩可溶性固形分はいずれもRK添加区より高値であるが, 市販鶏醤よりも低値であった. 味覚分析データの主成分分析結果からLK添加区はRK添加区より塩味と酸味がやや弱く, 市販鶏醤よりうま味や原材料由来のコクにかたよりがなく, 呈味性のバランスが取れていた.