14:00 〜 14:10
[V-16-22] 過酸化脂肪酸によるTLR10発現誘導作用の評価
【目的】
我々は抗炎症作用をもつ油脂の機能性解析を通じて、トリグリセリドの構成成分である脂肪酸がアシル基の構造依存的にToll様受容体(TLR)10の発現を誘導する現象を見出した。しかしTLR10はリガンドが不明な受容体であり、脂肪酸によって発現誘導される理由やその機序は明らかではない。本研究では、TLRが本質的に生体内外の脅威に対する自然免疫応答を担っているという観点から、生体に有害な脂肪酸過酸化物(過酸化脂肪酸)がTLR10発現作用に及ぼす影響を評価した。
【方法】
リノール酸およびそれらの過酸化物である9-HpODEと13-HpODEの市販品を牛血清アルブミンで可溶化し、ヒト皮膚角化細胞株HaCaTの培養系に添加した。TLR10の遺伝子発現レベルについては定量RT-PCR法により解析を行った。また、転写因子NF-κBの核画分への移行状態を指標にシグナル伝達経路の活性化状態を解析した。
【結果・考察】
9-HpODEや13-HpODEで処理を行った細胞では、リノール酸で処理を行った細胞と比較してTLR10発現量が有意に増加することが明らかとなった。またリノール酸処理ではみられないNF-κBの核への移行量が有意に増加していた。これらの結果から、脂肪酸が過酸化することによってNF-κBシグナル伝達経路の活性化が誘導され、TLR10発現誘導作用の増強につながっている可能性が示された。
我々は抗炎症作用をもつ油脂の機能性解析を通じて、トリグリセリドの構成成分である脂肪酸がアシル基の構造依存的にToll様受容体(TLR)10の発現を誘導する現象を見出した。しかしTLR10はリガンドが不明な受容体であり、脂肪酸によって発現誘導される理由やその機序は明らかではない。本研究では、TLRが本質的に生体内外の脅威に対する自然免疫応答を担っているという観点から、生体に有害な脂肪酸過酸化物(過酸化脂肪酸)がTLR10発現作用に及ぼす影響を評価した。
【方法】
リノール酸およびそれらの過酸化物である9-HpODEと13-HpODEの市販品を牛血清アルブミンで可溶化し、ヒト皮膚角化細胞株HaCaTの培養系に添加した。TLR10の遺伝子発現レベルについては定量RT-PCR法により解析を行った。また、転写因子NF-κBの核画分への移行状態を指標にシグナル伝達経路の活性化状態を解析した。
【結果・考察】
9-HpODEや13-HpODEで処理を行った細胞では、リノール酸で処理を行った細胞と比較してTLR10発現量が有意に増加することが明らかとなった。またリノール酸処理ではみられないNF-κBの核への移行量が有意に増加していた。これらの結果から、脂肪酸が過酸化することによってNF-κBシグナル伝達経路の活性化が誘導され、TLR10発現誘導作用の増強につながっている可能性が示された。