日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

6. 管理・環境

管理・環境

2022年9月16日(金) 13:00 〜 17:00 Zoom会場6 (オンライン)

座長:杉野 利久(広大院生物圏)、矢用 健一(農研機構 畜産研究部門)、石川 志保(酪農学園大学)、森田 茂(酪農学園大農食環境)、阪谷 美樹(農研機構畜草研)、竹田 謙一(信州大学)、黒川 勇三(広島大学)、檜垣 彰吾(農研機構)

15:10 〜 15:20

[VI-16-15] 消化液脱水固形物を敷料利用した酪農生産に対するライフサイクルGHG排出量評価

*瀬戸口 暁1、大石 風人1、木村 義彰2、荻野 暁史3、熊谷 元1、広岡 博之1 (1. 京大院農、2. 道総研、3. 農研機構畜産部門)

【目的】バイオガスプラントを利用した北海道内の250頭規模の牧場をモデル農家として、ライフサイクルアセスメント(LCA)による温室効果ガス(GHG)排出量と経済性の評価を実施し、バイオガスプラントを利用せずスラリー貯留した場合と比較した。【方法】本研究のモデル農家では、チモシーとトウモロコシを自給飼料作物として生産しており、飼料の一部として乳牛に給与される。排泄されたスラリーはバイオガスプラントで処理され、発酵消化液の固液分離後、液分は自給飼料作物の有機肥料として利用され、固形分は堆積発酵させて再生敷料として牛舎で再利用されている。本研究では、環境影響評価として、脂肪タンパク補正乳量 1 kgあたりのGHG排出量を定量化し、加えて乳生産や売電などの売上とプラント建設などの費用から経済性も評価した。【結果】環境負荷物質の排出源として大きな割合を占めるふん尿処理において、バイオガスプラントと再生敷料の利用により消化液中の有機物量が低減され、メタン排出の大きな低減が見られた。その結果として、農場全体からのGHG排出量も低減された。経済性については、プラント建設費により費用が増加したものの、売電収入および再生敷料の利用による敷料購入費の低減により売上が向上し、利益としては増加する結果となった。以上より、バイオガスプラントと再生敷料の利用はGHG排出量と経済性の両面で有用であることが示された。