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[II-19-03] 哺乳子牛へのアルギニン給与が胸腺の大きさに及ぼす影響
【目的】胸腺の大きい子牛は免疫能が高く、良好な発育が期待できる。しかし、栄養状態が悪くストレスを受けると胸腺は萎縮する。アルギニン(Arg)は胸腺の構成成分であり、豚やマウスではArg給与による胸腺重量増加や免疫能向上が報告されているが、ウシでの報告はほとんどない。そこでArgを給与した子牛における頸部胸腺の断面積を計測し、Arg給与が胸腺の大きさに及ぼす影響について検討した。【方法】初乳摂取後のホルスタイン種雌子牛10頭を用いた。5頭にArgを8g添加した代用乳を(給与群)、5頭に代用乳のみを給与した(対照群)。給与期間は30日間とし、給与前、給与7、14、30、60日後に頸静脈から採血し、T-Cho、TP、BUN、Alb及び遊離アミノ酸濃度を測定し、体重及び超音波診断装置により頸部胸腺断面積を測定した。【結果】T-Cho、TP、BUN、Alb、体重及び頸部胸腺断面積の増加率に両群間で有意な差は認められなかった。一方で、給与群の頸部胸腺断面積が常に増加したのに対し、対照群では給与14日後に減少した。給与30日後の総アミノ酸、総必須アミノ酸、及び免疫機能の獲得に重要なバリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニンは給与群で低値を示し(P<0.05)、これは免疫関連蛋白の合成亢進に伴うものと考えられた。以上より、子牛へのArg給与は免疫能を高め、胸腺の萎縮を抑制できる可能性が示唆された。