日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養Ⅰ

2023年9月20日(水) 09:00 〜 11:50 第II会場 (大講義室)

座長:大坂 郁夫(明治飼糧株式会社)、谷川 珠子(道総研酪農試)、杉野 利久(広島大院統合生命)、野中 最子、近藤 誠(三重大学)

09:20 〜 09:30

[II-20-03] 泌乳牛へのα-リノレン酸含有脂肪酸カルシウムの給与が乳生産、栄養代謝状況および繁殖機能に及ぼす影響

*山口 昇一郎1、藤井 英之1、成瀬 講平2、山田 豊2、伊賀 浩輔3、太田 剛1 (1. 福岡農林試、2. 油化産業、3. 農研機構畜産部門)

【目的】近年、乳牛の受胎率が低下し、現場で大きな問題となっている。本研究では、泌乳牛へのα-リノレン酸含有脂肪酸カルシウム(Ca)の給与が、乳生産、栄養代謝状況および繁殖機能に及ぼす影響を検討した。【方法】試験は、試験場(24頭)および酪農家2戸(つなぎ牛舎・分離給与、19頭)で実施した。α-リノレン酸含有脂肪酸Caを分娩後3週目から21週(試験場)または受胎確認(酪農家)まで、トップドレスで100g/日給与し(α-リノレン酸区)、対照区は無給与とした。給与試験期間中の乾物摂取量、乳量、乳成分、血液成分、子宮回復状況、初回人工授精(AI)日数、初回AI後の黄体血流量、プロジェステロン(P4)濃度及び受胎率を比較検討した。【結果】乾物摂取量、乳量、乳成分、子宮回復およびP4濃度に有意差はなかった。血中T-cho濃度は、α-リノレン酸区が対照区に比べて有意に高くなった(p<0.05)。初回AI日数に有意差はなかったが、AI 14日後の黄体血流量はα-リノレン酸区が対照区に比べて有意に高くなり(p<0.01)、初回受胎率も高い傾向にあった。以上のことから、分娩後3週目からの泌乳牛にα-リノレン酸含有脂肪酸Caを給与することによって血中T-cho濃度が高く推移し、分娩後の栄養代謝状況が早期に回復するとともに、黄体機能が高まり、初回AI後の受胎率が向上する可能性が示唆された。