栄養・飼養Ⅰ

[II-20-05] ルーメンバイパス性の高い脂肪酸カルシウムの長期給与が乳牛の血液性状およびルーメン発酵に及ぼす影響

*樋口 浩二¹、宇喜多 遥¹、西田 理恵²、有坂 京祐²、澤戸 利衣¹、野中 最子¹、佐々木 修¹ (1. 農研機構畜産部門、2. 家畜改良セ新冠)

【目的】 ルーメンバイパス性の高い脂肪酸カルシウム（HB-CSFA）の給与は乳牛のエネルギー摂取量を効率的に高めることができると期待されるが、長期間給与した場合の影響は不明確である。本研究では、HB-CSFAを泌乳牛に長期間給与し、血液性状およびルーメン発酵への影響を明らかにすることを目的とした。
【方法】 フリーストールにおいて牛群を対照区および試験区に分け、対照区では基礎飼料のTMR、試験区では基礎飼料にHB-CSFAを混合したTMRを飽食させた。基礎飼料による1週間の馴致後、採材（第1週）をおこなったのち試験区の給与を開始した。その後、第２、５、９および14週で採材をおこなった。採材では両区の6～7頭の個体を継続して調査対象とし、5日間、毎日（10:00、14:00）スニファー法に基づくメタン測定を実施し、最終日に頸静脈血、ルーメン液を採取した。
【結果】 血液性状について、肝機能関連のASTおよびALT、総コレステロールならびに遊離脂肪酸は試験期間を通じてHB-CSFA区が高い値を示した。ルーメン液の酢酸割合はHB-SCFA給与後上昇し、試験期間を通じて有意に高くなった。メタン発生量には両区間の差はなかった。以上の結果より、HB-CSFAの長期給与は脂質摂取増加としての影響ならびにルーメン発酵への影響を及ぼすことが示唆された。