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[II-20-11] 乾乳期の潜在性ケトーシス予備牛に対する予防的投薬の効果の検証
【目的】分娩後のケトーシス牛の治療に対してプロピレングリコール(PG)が用いられている。しかし、予防的にPGなどの糖質を投与する効果については不明である。そこで、乾乳期のケトーシス予備牛に対してPGとショ糖(SR)の予防的効果について検証した。 【方法】大学近郊の2農場で、分娩予定14日前に血中非エステル型脂肪酸(NEFA)濃度が0.3 mEq/L 以上の経産牛を潜在性ケトーシス(SCK)予備牛と診断した。29頭の予備牛がPG群(n=10)、SR群(n=9)、無処置群(HC群(n=10))に無作為に振り分けられた。PG群には PG 0.5L/日、SR群には 50%ショ糖液1L/日をいずれも診断日から5日間連続で投与した。採血は分娩予定14、7日前および分娩後3、7、14、21 日の計6回行った。血中のNEFA、グルコースおよびβ-ヒドロキシ酪酸(BHBA)濃度を測定するとともに、各群における分娩後150日以内の除籍割合も算出した。 【結果・考察】分娩後14日目のNEFA濃度は、PG群でHC群と比較して低い傾向が見られた。分娩後3日目のグルコース濃度は、2投与群でHC群と比較して有意に高くなった。分娩後3日目のBHBA濃度は、PG群でHC群より低い傾向が見られた。除籍割合は、HC群が2投与群と比較して有意に高かった。以上より、ケトーシス予備牛に対する予防的投薬の有用性が示唆された。