日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養Ⅰ

2023年9月20日(水) 09:00 〜 11:50 第II会場 (大講義室)

座長:大坂 郁夫(明治飼糧株式会社)、谷川 珠子(道総研酪農試)、杉野 利久(広島大院統合生命)、野中 最子、近藤 誠(三重大学)

11:10 〜 11:20

[II-20-14] 亜硫酸パルプ副産物由来トルラ酵母(核酸抽出後)の消化性および窒素利用性に関する研究

*梶川 博1、劉 春艶1、浅野 早苗1、佐藤 咲恵子1、村井 花衣1、矢部 ななみ1 (1. 日本大生物資源)

【目的】今後の我が国の食料生産は、自給率向上と環境再生型農業への取組が課題となる。本研究では、低・未利用資源である亜硫酸パルプ排液で培養した核酸抽出後のトルラ酵母(TY, CP55%, 日本製紙)をヤギへ給与して、その反芻家畜に対する飼料価値を大豆粕(SM, CP52%)と比較した。【方法】基礎飼料としてアルファルファキューブ(AF)を給与した去勢シバヤギ4頭に、CPを25%に揃えるためにTYを乾物で18%、SMを22%AFと置換して代謝試験を実施した。【結果】TY給与当初の嗜好性は良好ではなかったが、数日以内に設定量を摂取した。単体飼料の成分消化率は、CPがTYで88、SMで96%であり、NFCは両者とも90%以上であったが、NDF はSM が92に対してTYが54%と低い消化率を示した。N出納では、消化・吸収量はSM区で高かったが、尿中排泄量もSM区で高かったため、蓄積N量では両区に差はみられなかった。蓄積量/吸収量はTYが有意に高く、TYは生物価の高い良好な蛋白質飼料と考えられる。ルーメン内アンモニアとBUNはTY区で低く、血中蛋白質はTY区で高かった。尿中プリン体排泄量から推定したルーメン微生物合成量は両区で差は見られなかった。