日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養Ⅰ

2023年9月20日(水) 09:00 〜 11:50 第II会場 (大講義室)

座長:大坂 郁夫(明治飼糧株式会社)、谷川 珠子(道総研酪農試)、杉野 利久(広島大院統合生命)、野中 最子、近藤 誠(三重大学)

11:30 〜 11:40

[II-20-16] 乳牛における飼料の嗜好性評価法の検討

*長野 志歩1、上野 梓1、吉野 雄大1、飯野 一輝2、近藤 美優2、青木 康浩1 (1. 農工大院農、2. 農工大農)

【目的】飼料の嗜好性を評価する上で適切な実験手法は確立しているとは言えない.そこで,乳牛を対象として①一対比較法における左右飼槽位置の選好性,②採食速度法における飼料の適切な提示時間について検討した.【方法】東京農工大学牛舎の泌乳牛7~8頭を供試した.①一対比較法において,同じ飼料を入れた2つの飼槽を置き、左右を入れ替えずに30分間採食させた.各飼槽の採食量を算出し,左右を同等に採食する場合,総採食量に対する比率は各飼槽とも50%になるとの仮説を1標本母平均検定によって検証した.②予め確認した搾乳後の採食開始後における最初のミール持続時間に基づき調査時間を設定し,その間の採食量の変化パターンに基づいて適切な採食速度調査時間の長さを検討した.採食量の変化にBrody曲線または直線回帰式をあてはめた.【結果】①検定の結果から採食比率と50%との差は有意ではなかったが,供試牛7頭のうち約65%:35%となる牛が2頭存在するなど個体によるばらつきが大きかった.そのため,同じ飼料であれば左右の位置に関わらず同じように選択すると断定できないと考えられた .②多くの個体の採食量はBrody曲線状に推移した.採食開始後の短時間では曲線式と実測値の差が大きく,少なくとも30分間,正確性を考慮するとその差が5%程度となる40分間は採食速度を調べる必要があることが示唆された.