日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養Ⅱ

2023年9月19日(火) 13:30 〜 14:50 第III会場 (1・2番講義室)

座長:豊後 貴嗣(岡山理科大学獣医学部)、白石 純一(日本獣医生命科学大学)、三谷 朋弘(北大FSC)

13:50 〜 14:00

[III-19-03] 飼育環境及び暑熱ストレスが卵黄遊離アミノ酸濃度に及ぼす影響について

*古瀬 充宏1、松尾 涼平1、青木 一生1、篠塚 まりな1、谷口 楓果1、洲崎 礼紀1、安尾 しのぶ1、種戸 亮介2、村井 篤嗣2、高橋 由美3、檜垣 邦昭3、横路 愛奈3、大内 義光4、豊後 貴嗣4 (1. 九大院生資環、2. 名大院生命農、3. 愛媛県養鶏研、4. 岡山理大獣)

【目的】ニワトリヒナを用いた研究で、急性ストレスは脳や血漿の遊離アミノ酸濃度に影響を及ぼすことを明らかにし、遊離アミノ酸がストレスの指標となることをこれまでに提案してきた。血漿遊離アミノ酸においては、単離・拘束ストレスや絶食ストレスで多くの遊離アミノ酸が減少し、5時間以内の暑熱ストレスではむしろ高くなるアミノ酸がいくつか確認された。しかし、夏季の暑熱ストレスは数日にわたることから、長期の影響を調査する必要があった。肝臓で生産された卵黄物質が血流を通して7~12日間かけて卵胞に蓄積することから、卵黄の遊離アミノ酸の濃度変化を非侵襲的な長期ストレスの指標と捉え、2つの飼育環境(平飼いとケージ飼育)で暑熱ストレスの影響を評価した。 【方法】白色レグホーン系産卵鶏(558日齢)を、ケージ(24 x 40 cm)飼育群(10羽)及び平飼い(90 x 180 cm)群(10羽)に配置し、1週間の馴致の後、2週間自然環境下で暑熱暴露した。実験開始時と終了時の卵黄の遊離アミノ酸をPico-Tagで分析した。 【結果】ケージ飼育群と平飼い群の間で全ての遊離アミノ酸濃度に有意な差は認められなかった。一方、両飼育環境共に暑熱ストレス負荷により遊離アミノ酸濃度は減少し、特にオルニチン、アラニン、プロリン、メチオニン、トリプトファン、アルギニンの順で著しかった。夏季にはこれらのアミノ酸の給与量を高める必要性が示唆された。