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[III-19-05] 代替粗飼料としての彦根梨剪定枝の飼料特性評価
滋賀県彦根市では彦根梨が特産となっている。本研究ではこの剪定枝の飼料成分を測定するとともに、飼料添加物としての潜在性を確認するため、総ポリフェノール含量を測定した。成分分析の項目としては、in vitro乾物消化率(IVDMD)、一般成分、デタージェント繊維成分(NDF,ADF,ADL)を測定した。IVDMDは粉砕した剪定枝0.5gにつき人工唾液と供試ヤギから経口採取したルーメン内容物の2重ガーゼによる圧搾液を加え、48時間培養した。培養終了後、ペプシン溶液で培養して乾物消化率を測定した。一般成分およびデタージェント繊維は定法で測定した。総ポリフェノール含量は剪定枝を水またはエタノールで抽出したのちフォリンチオカルト法で測定した。その結果、IVDMDは30%、粗タンパク質は0.5%、粗繊維は47%、NDFは75%、ADFは57%、ADLは18%であった。また、総ポリフェノール含量は抽出物1mgあたり没食子酸当量で水抽出物 81.2㎍、エタノール抽出物 25.2㎍であった。以上のことから、彦根梨剪定枝は繊維成分が多く含まれているが、木質バイオマスとしてはIVDMDが高かったため、粗飼料として活用できる可能性がある。また、ポリフェノールが含まれていることから、飼料添加物として与えた場合に抗菌、抗酸化、抗炎症などのさまざまな効果が期待できると考えられた。