日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養Ⅱ

2023年9月20日(水) 13:00 〜 16:00 第III会場 (1・2番講義室)

座長:小櫃 剛人(広島大院生物圏)、八代田 真人、中辻 浩喜(酪農学園大学)、真貝 拓三(農研機構畜産研究部門)、上田 宏一郎(北海道大学大学院農学研究院)、大谷 喜永(明治飼糧(株))

14:10 〜 14:20

[III-20-22] 酒粕の給与がヒツジのメチオニン代謝に及ぼす影響

*福田 大和1、趙 曼1、小櫃 剛人1、杉野 利久1 (1. 広大院統合生命)

【目的】酒粕は飼料タンパク質源として利用し得るが,酒粕に多く含まれているエタノールは単胃動物においてメチオニン(Met)代謝に影響することが知られている.本研究では,酒粕を給与した場合での窒素出納とMet代謝について検討した.【方法】去勢成ヒツジ6頭を供試し,対照区と酒粕区を設け,1期14日間の2期反転法で試験を行った.対照区では,オーツ乾草(75%)と大麦+大豆粕(25%)を配合し,酒粕区では,大麦+大豆粕の全量を酒粕に代替した(乾物中エタノール含量3%).いずれの区も乾物中CP含量を11%とし,維持エネルギー要求量相当量を給与した.各期末に,安定同位体標識Metとフェニルアラニン(Phe)をトレーサーとして血漿MetおよびPheの代謝速度を測定した.2期目終了時に屠殺し肝臓組織を採取した.【結果】酒粕区では対照区に比べて,みかけの窒素消化量および尿中窒素排出量は少なかったが,窒素蓄積量が多い傾向にあった.血漿のMet,ホモシステイン,システイン濃度は処理区間で差はなかったが,肝臓Met含量は酒粕区で低い傾向を示した.血漿Met代謝速度は酒粕区で高値を示したが,Metの再メチル化速度には処理区間に差はなかった.また,血漿Phe代謝速度は酒粕区において高値を示す傾向にあった.以上のことから,ヒツジでは酒粕の給与によってメチオニンの利用速度が高まることが示唆された.