日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養Ⅱ

2023年9月20日(水) 13:00 〜 16:00 第III会場 (1・2番講義室)

座長:小櫃 剛人(広島大院生物圏)、八代田 真人、中辻 浩喜(酪農学園大学)、真貝 拓三(農研機構畜産研究部門)、上田 宏一郎(北海道大学大学院農学研究院)、大谷 喜永(明治飼糧(株))

14:20 〜 14:30

[III-20-23] 乾乳牛に対する木質粗飼料の給与効果の実証

*檜山 亮1、谷川 珠子2、松井 義貴2、小林 祐輔3、稲川 昌志3、中井 真太郎3、近藤 萌里4、阿部 健太郎4、磯辺 武市5、西田 武弘6 (1. 道総研林産試、2. 道総研酪農試、3. エース・クリーン、4. 雪印種苗、5. 松原産業、6. 帯畜大畜産)

背景:乳牛では周産期疾病が大きな問題となっており、乾乳期における乾物摂取量の確保、過肥抑制および飼料中カリウム(K)含量の低減が重要と考えられている。木質粗飼料は高嗜好性、低TDNおよび低Kの特徴を有することから、乾乳牛への給与効果を実証することを目的に、以下の試験を行った。 方法:北海道東部の3農場の乾乳牛に対し、シラカンバ(Betula Platyphylla)を約180℃の高圧水蒸気で処理(以下、蒸煮)した市販木質粗飼料(キャトルエース、北見市)を2kg/頭/日で6か月給与した。その後、2農場では、カラマツ(Larix kaempferi)を蒸煮した粗飼料を2kg/頭/日で6か月または3か月給与した。供試牛について、毎月1回、ボディコンデイションスコア(BCS)とルーメンフィルスコア(RFS)を記録するとともに、乳検成績と診療記録から乳量、繁殖成績、疾病発生、死亡廃用を調べて、木質粗飼料給与前の同時期と比較した。 結果:給与開始直前月と比較して、シラカンバ粗飼料6か月の給与により、BCS3.75以上の乾乳期の過肥牛は3農場中2農場で減少し、RFS2以下の乾乳期の摂取量不足牛は3農場とも減少した。カラマツ粗飼料6または3か月の給与では、乾乳期の過肥牛および摂取量不足牛は減少傾向であった。給与前の同時期と比較して、分娩後の乳量や疾病等の発生は木質粗飼料の給与により改善傾向が認められた。