日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養Ⅱ

2023年9月20日(水) 13:00 〜 16:00 第III会場 (1・2番講義室)

座長:小櫃 剛人(広島大院生物圏)、八代田 真人、中辻 浩喜(酪農学園大学)、真貝 拓三(農研機構畜産研究部門)、上田 宏一郎(北海道大学大学院農学研究院)、大谷 喜永(明治飼糧(株))

14:50 〜 15:00

[III-20-26] バイオ界面活性剤によるルーメン発酵調節とメタン抑制効果の評価

後藤 飛名1、山本 周平2、菅原 知宏2、春日部 芳久2、鈴木 裕1、小林 泰男1、*小池 聡1 (1. 北大農、2. 東洋紡(株))

【目的】環境負荷と飼料エネルギー損失の観点から、反芻家畜のルーメン発酵で生じるメタンガスの削減が喫緊の課題となっている。本研究では、グラム陽性菌に対する選択的抗菌効果をもつバイオ界面活性剤がルーメン発酵、特にメタン産生に及ぼす影響を評価した。【方法】酵母由来のバイオ界面活性剤であるマンノシルエリスリトールリピッド(MEL–B–201)をin vitroバッチ培養試験により評価した。ホルスタイン種乾乳牛3頭から採取したルーメン内容物に濃厚飼料および乾草とともにMEL-B-201を添加した。培養終了後、発酵産物(ガスおよび短鎖脂肪酸)と細菌叢を解析した。【結果】MEL–B–201は200 ppmの添加濃度で明確なメタン抑制効果とプロピオン酸増強効果が認められ、その効果は抗生物質モネンシンと同程度であった。細菌叢解析の結果、MEL–B–201の添加により乳酸やコハク酸を産生する細菌やこれら中間代謝物をプロピオン酸に代謝する細菌の有意な増加が確認された。以上より、MEL–B–201は抗生物質モネンシンと同程度のメタン低減効果およびプロピオン酸増強効果を有し、その作用機序は選択的抗菌効果によるプロピオン酸生成経路の増強を伴う菌叢変化と推察された。