日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養Ⅱ

2023年9月20日(水) 13:00 〜 16:00 第III会場 (1・2番講義室)

座長:小櫃 剛人(広島大院生物圏)、八代田 真人、中辻 浩喜(酪農学園大学)、真貝 拓三(農研機構畜産研究部門)、上田 宏一郎(北海道大学大学院農学研究院)、大谷 喜永(明治飼糧(株))

15:10 〜 15:20

[III-20-28] 乳牛を対象としたメタン排出量推定式

*寺田 文典1、鈴木 知之1、及川 康平1、野中 最子1 (1. 農研機構畜産研究部門)

【目的】我が国で飼養される乳牛の消化管内発酵に由来するメタン排出量(CH4)は,乾物摂取量(DMI)を用いたShibataら(1993)の式に基づいて推定されている。しかし,Shibataらは2次式をCH4を用いて推定したことから,DMIが多い場合の適合度に課題があった。そこで,新たに収集した呼吸試験成績を加えて,乳牛のみを対象としたメタン排出量推定式を作成した。【方法】Shibataらが用いた37点のデータと,90年代以降に農研機構で測定された128点のデータを用いて,BW, DMI, DMI2, 乳脂率,乳タンパク質率,GE含量,代謝率等を説明変数としたステップワイズ法によりCH4推定式を作成した。また,DMIのみを用いた推定式も作成した。【結果】供試データのDMI, ECM, CH4の平均±標準偏差は,17.0±3.6kg/日,27.2±7.1kg/日,469±93L/日であった。重回帰分析によって,CH4=-238+38.8DMI-0.636DMI2+0.197BW+32.4乳脂率 (自由度調整済R2=0.58 RMSE=60)が得られた。DMIのみを変数とした場合,CH4=142+19.2DMI (R2=0.54 RMSE 63)が得られた。Shibataらの式による推定値はDMIが多いところでやや過小に評価する傾向があったが,新規推定式ではその傾向は認められなかった。