日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養Ⅱ

2023年9月20日(水) 13:00 〜 16:00 第III会場 (1・2番講義室)

座長:小櫃 剛人(広島大院生物圏)、八代田 真人、中辻 浩喜(酪農学園大学)、真貝 拓三(農研機構畜産研究部門)、上田 宏一郎(北海道大学大学院農学研究院)、大谷 喜永(明治飼糧(株))

15:50 〜 16:00

[III-20-32] メタゲノム解析によるヒツジのルーメンウイルスの特徴の解明

*佐藤 元映1、熊谷 元2、広岡 博之2、吉田 天士2 (1. 宇大農、2. 京大院農)

【目的】反芻動物の第一胃(ルーメン)には様々な微生物が棲息している。近年、ルーメン細菌叢の解析が広く行われているが、原核生物に感染するウイルスにまで着目した研究は少ない。そこで、本研究ではメタゲノム解析によりヒツジのルーメンウイルスの特徴解明を試みた。【方法】粗飼料と濃厚飼料を乾物比30:70 (n=2)および70:30 (n=2)で14日間給与された去勢緬羊4頭よりルーメン液を採取した。各サンプルより、ウイルス画分を精製後、DNAを抽出し、HiseqX (2×150bp)を用いてメタゲノム解析を行った。シーケンスデータよりウイルスゲノムを取得し、遺伝子共有ネットワークに基づく系統分類およびCRISPRスペーサー配列の比較による感染宿主予測を行った。【結果】非冗長な4658ウイルスゲノムを取得し、その中の563ウイルスゲノムの宿主予測に成功した。その結果、ルーメン内に棲息するFirmicutes門、Bacteroidetes門およびProteobacteria門の細菌へ感染するウイルスが多いことが示唆された。また、系統分類の結果、RefSeqやウシのルーメンウイルスゲノム(Sato et al., 2022)に含まれない新規の122属を含むことが明らかになった。以上より、ヒツジのルーメンには土壌や海洋などの他の環境中やウシのルーメンとは異なるウイルスが棲息している可能性が示唆された。