日本畜産学会第131回大会

講演情報

優秀発表賞応募講演

優秀発表賞応募講演

優秀発表Ⅱ

2023年9月19日(火) 09:00 〜 10:30 第III会場 (1・2番講義室)

座長:井上 慶一(宮大農)、谷口 雅章(農研機構畜産研)、佐々木 修(農研機構畜産部門)、下桐 猛(鹿大農)

09:15 〜 09:30

[IIIYS-19-02] 高密度SNPマーカーを用いた東南アジア諸島在来ヤギの遺伝構造と伝播、遺伝子流入の推定

*増子 諒1、高尾 祐樹1、アイン アイン1、笹崎 晋史1、川口 芙岐1、山本 義雄2、Masangakay JS3、Dagong MIA4、Bugiwati SRA4、Jiaqi Wu2、米澤 隆宏2、万年 英之1 (1. 神戸大院農、2. 広島大院統合生命、3. フィリピン大獣医、4. ハサヌディン大動物)

【背景・目的】本研究では、高密度SNP解析を実施し、東南アジア諸島を中心とした旧大陸における在来ヤギの遺伝子構造、伝播経路、および遺伝子流入について考察した。【方法と結果】ヨーロッパ、アジア、アフリカの53集団、約5,000個体のSNPデータセットを作成し、主成分分析、STRUCTURE解析、migration解析を行った。その結果、K=2~5では旧大陸を東西に分類する遺伝要素、ヨーロッパ集団での特異的な遺伝要素、東南アジア集団での特異的な遺伝要素、南東アフリカの集団で特異的な遺伝要素が確認された。特に、アフリカ南東部の沿岸部に位置する国においてアジアの特異的な遺伝要素がみられた。フィリピン在来ヤギ集団ではアフリカの南東部地域、ヨーロッパ集団全体を遺伝要素とする遺伝的混在が認められた。一方、インドネシアでは他地域からの遺伝的混合がほとんど見られなかった。また、ヨーロッパやアフリカ集団からフィリピンへの遺伝子流入が確認されたが、ヨーロッパやアフリカの特定の国から東南アジア諸島への遺伝子流入は見られなかった。【考察】本研究の結果、1)ヨーロッパから海洋貿易によってアフリカ南東部に流入・遺伝的混合が起こり、その後東南アジア諸島に流入した、2)ヨーロッパ、アフリカ南東部それぞれからフィリピンへと流入し、フィリピンにおいて遺伝的混合が起こった、などの可能性が示唆された。