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[IV-20-16] 黒毛和種繁殖雌牛におけるリポポリサッカライド(LPS)との関連性
【目的】黒毛和種における分娩間隔長期化の要因の一つに炎症性疾患があげられる. 近年, 炎症性疾患により発生するリポポリサッカライド(LPS)が繁殖に対し抑制的に働くという報告があるが黒毛和種繁殖雌牛での報告はない. 本研究では黒毛和種における分娩前後の血中LPS検出と初回発情, 子宮内膜炎および血液一般成分の関係を調査した.【方法】供試牛は, 黒毛和種雌牛39頭を用いて分娩後48時間に早期離乳をした. 血液の採取は, 分娩予定日の2週間前, 分娩当日, 分娩4週間後, 8週間後, 12週間後に行い, 初回発情の前にLPSが検出された牛を検出牛とした. 分娩から28-35日後に子宮内膜好中球検査を行い, 多形核白血球割合6%以上を子宮内膜炎陽性牛とした. 【結果】供試牛39頭の内9頭についてLPSが検出され, 検出範囲は0.9-7.0 pg/mlであった. 検出牛の内子宮内膜炎陽性牛は3頭であった. 初回発情において検出牛は38.0±10.8日, 非検出牛は24.2±10.6日であり検出牛は初回発情が有意に遅くなった(p<0.05). 検出牛のTCHO, Gluは非検出牛より低く推移し(TCHO:p<0.001, Glu:p<0.1), ASTは高く推移(p<0.01)したことから, 炎症性疾患などにより乾物摂取量が減少したと考えられた. 以上より、黒毛和種の初回発情に血中LPSの関与が示唆された.