日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

3. 繁殖・生殖工学

繁殖・生殖工学

2023年9月20日(水) 13:00 〜 15:10 第IV会場 (3番講義室)

座長:小林 仁(宮城大学)、平山 博樹、唄 花子(北海道大学)、三浦 亮太朗(日本獣医生命科学大学 )

13:50 〜 14:00

[IV-20-18] 黒毛和種リピートブリーダー牛における繁殖開始時期の子宮内および糞便中のメタゲノム解析の特徴

*三浦 亮太朗1、萩田 祐二朗2、田島 剛1、味戸 忠春1、濱野 晴三3、白砂 孔明4 (1. 日獣生科大獣、2. 日獣生科大富士アニマルファーム、3. 日人協、4. 東農大農)

【目的】人工授精(AI)を3回繰り返しても受胎しないリピートブリーダー(RB)牛の発生要因について不明な点が多い。近年、子宮内または腸内細菌叢のメタゲノム解析により、細菌叢の構成と生殖器疾患の発生との関与が示されている。そこで、黒毛和種RB牛の分娩後の繁殖開始時期における子宮内および糞便の細菌叢の特徴について評価した。【方法】黒毛和種雌牛(n=15, 産次, 2.9±1.7; 平均±標準偏差)を対象に、分娩後の48.8±5.7日に、生殖器の超音波検査、子宮内潅流(HBSS:20ml)および直腸内糞便採取を行った。その後自然発情に対してAIを実施し、3回以内のAIで受胎した正常牛群(n=10)と3回のAIで受胎しなかったRB牛群(n = 5)に分類した。潅流液と糞便に対して16S rRNAシーケンス解析を行い、正常牛とRB牛間における細菌叢の構成を比較した。【結果】子宮潅流液および糞便ともにα多様性およびβ多様性に差異はなかった。RB牛群の糞便では正常牛群と比較してClostridium属およびBacteroides属菌が少なかった。【考察】マウスではClostridium属およびBacteroides属の一部の菌が腸内での免疫抑制や全身性の炎症反応の抑制に関与することが示されている。RB牛においてこれらの細菌数が減少したことで、全身性の免疫応答が乱れ、繁殖性が低下した可能性が示唆された。