日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

3. 繁殖・生殖工学

繁殖・生殖工学

2023年9月20日(水) 13:00 〜 15:10 第IV会場 (3番講義室)

座長:小林 仁(宮城大学)、平山 博樹、唄 花子(北海道大学)、三浦 亮太朗(日本獣医生命科学大学 )

14:30 〜 14:40

[IV-20-21] 交配日の牛舎内THIが乳用牛の受胎率に及ぼす影響

*鍋西 久1、野﨑 則彦2、越智 成東2、佐々木 貴史2、山崎 淳1 (1. 北里大獣、2. 雪印メグミルク(株)酪農総合研究所)

【目的】育種改良による高泌乳化や地球温暖化による暑熱ストレスの増大等の影響を受け、世界的な乳用牛の繁殖成績低下が大きな問題となっている。熱環境と繁殖成績との関連評価では、気象観測所のデータを採用した報告がほとんどであり実際の牛舎環境との乖離が懸念される。そこで本研究では、全国各地の酪農牛舎に温湿度センサーを設置し、交配日の牛舎内温湿度指数(THI)と受胎率との関連を評価した。【方法】北海道から沖縄までの計31の酪農牛舎に通信機能付温湿度センサーを設置し、1時間毎の温度と湿度を取得した。得られた値から日平均、最小、最大THIを算出した。各農場の繁殖成績は牛群検定成績から採取した。2021年6月から2023年1月までに交配され、妊否の判明した8318頭(AI:7487頭、ET:831頭)について、交配日の牛舎内THIと受胎率の関連を評価した。【結果】試験期間中における平均AI受胎率は経産牛33.9%、未経産牛60.9%、ET受胎率は経産牛40.6%、未経産牛64.7%であった。未経産牛では交配日の牛舎内THIと受胎率との関係性は認められなかった。経産牛のAI受胎率は日最小THI≧65(29.3%)とTHI≧75(18.7%)で段階的に有意に低下したものの(P<0.05)、ET受胎率は高THI環境下でも低下しなかった。本研究は現在も継続中である。