日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

3. 繁殖・生殖工学

繁殖・生殖工学

2023年9月20日(水) 13:00 〜 15:10 第IV会場 (3番講義室)

座長:小林 仁(宮城大学)、平山 博樹、唄 花子(北海道大学)、三浦 亮太朗(日本獣医生命科学大学 )

14:40 〜 14:50

[IV-20-22] 乗駕許容行動開始からの経過時間の可視化による牛の人工授精適期判定ツール開発の試み

*堀畑 慶1、梶 雄次1、竹之内 直樹1、福重 直輝1、法上 拓生1 (1. 農研機構九沖農研)

【目的】中小規模の繁殖農家では目視による発情観察が主であり、発情や発情開始から6-24時間後とされる授精適期の見逃し防止が課題である。本研究は、発情の指標である乗駕許容行動(ST)により押し出されるインクの滲出距離によって発情開始からの経過時間を可視化することで、ICTを使わずSTと授精適期を判定可能なツールの開発を目的とし、作製した試作ツールの性能を評価した。【方法】市販の発情検知補助器具の一部を用いて、ツールを作製した。発情1-4日前の黒毛和種繁殖雌牛のべ19頭の尾根部にツールを装着し、目視およびビデオカメラ映像により、①発情開始時点の検知性能、②発情開始からの経過時間の表示性能、③耐久性を検討した。更に、ツールの示す経過時間を参照して4頭に人工授精を行い、その後の受胎率を調べた。【結果】①10/19ツールが初期のSTにより作動した(感度52.6%)。②適切に作動したツールのインクの滲出距離とST開始からの経過時間を用いた回帰モデルを作成したところ、有意(P<0.001)な相関(R2=0.98)が認められた。③全19ツール中、外装の破損7件、ツール落下が1件発生した。ツールを用いた人工授精により、3/4頭が受胎した。以上から、作製したツールによって、授精適期を予測できる可能性が示された。一方で、感度や外装等の改良すべき点が確認された。