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[IV-20-23] マウス妊娠時における肝細胞の肥大化に関する分子メカニズムの解明
【目的】妊娠時において子宮は形態的・機能的に大きく変化するが,我々の以前の研究においてマウス妊娠中には,肝細胞の増殖と肥大化により,妊娠1日目(=膣栓確認日)から妊娠18日目にかけて肝臓重量が約2倍に増加することを明らかにした(第129回畜産学会).さらに,この肥大化を制御する因子としてPrr16遺伝子に着目し,Prr16が妊娠後期の肝細胞と胎盤で高発現していることも明らかにしている.本研究ではゲノム編集技術を用いてPrr16 遺伝子欠損マウスを作製し,妊娠時における肝臓の変化と妊娠転帰の関係を調べた.【方法】Prr16 遺伝子の第2エキソンを標的として,マウス前核期胚を用いてCRISPR/Cas9システムによるゲノム編集を行なった.得られた個体から遺伝子編集個体を選別し,その後交配によってホモ欠損個体(Prr16-/-)を作出した.このPrr16-/-雌マウスの妊孕性および肝臓の変化について調べた.【結果・考察】Prr16-/-では非妊娠時,妊娠10日目および12日目の体重比に占める肝重量の割合が野生型と比較して有意に低下していた.妊孕性についてPrr16-/-は野生型と比較して産子数の低下は認められなかったが,妊娠中期に一部の着床部位に異常が認められた.以上のことから,Prr16は妊娠中の肝臓の変化に影響を及ぼすが,妊娠転帰には影響しないと考えられる.