日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

3. 繁殖・生殖工学

繁殖・生殖工学

2023年9月20日(水) 13:00 〜 15:10 第IV会場 (3番講義室)

座長:小林 仁(宮城大学)、平山 博樹、唄 花子(北海道大学)、三浦 亮太朗(日本獣医生命科学大学 )

15:00 〜 15:10

[IV-20-24] メスのアルパカの交配前のエストラジオール17-β濃度はオスとの交尾の成立に影響するか

*惠木 徹1、花田 正明1、藤倉 雄司1、Tomas ACOSTA1 (1. 帯畜大)

交尾排卵動物であるアルパカはウシなどの自然排卵動物と同様に、周期的に卵胞が発育するが、その周期は短いため、繁殖期では常にメスはオスとの交尾を受け入れるといわれている。しかし、北海道で飼養されているアルパカではメスがオスとの交尾を拒否することがしばしばみられ、交尾の成立にはエストラジオール17-β(E2)もしくはプロジェステロン(P4)濃度が関与していると考えられる。本研究では北海道で飼養されているメスのアルパカ5頭を用いて、交配前におけるメスの糞中のE2ならびにP4濃度がオスとの交尾成立に及ぼす影響を検討した。供試したメスのアルパカの平均年齢は10.4才、体重は74.0 kgであった。交配は春から秋にかけて14回実施し、ベンにメスとオス1頭ずつ入れ交尾が成立するかを観察した。オスとの交尾が成立した回数は、9回であった。交配前の糞の乾物中E2濃度は、オスとの交尾が成立したメス(218.7 ng/g)の方が、交尾を拒否したメス(85.7 ng/g)より高かったが、有意な差はなかった(P=0.486)。交配前のP4濃度は、オスとの交尾が成立したメス(487 ng/g)の方が、交尾を拒否したメス(1106 ng/g)より低かった(P<0.05)。これらのことから交尾を拒否したアルパカは交配時にすでに妊娠していた可能性が高く、交尾拒否に対するE2の影響は小さかったと考えられた。