日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

2. 育種・遺伝

育種・遺伝Ⅰ

2023年9月20日(水) 09:00 〜 11:50 第V会場 (4番講義室)

座長:和田 健太(東京農業大学)、石原 慎矢(日本獣医生命科学大学)、石川 明(名大院生命農)、鈴木 恒平(家畜改良セ)、谷口 雅章(農研機構畜産研)、福田 智一(岩手大理工)

09:10 〜 09:20

[V-20-02] ニワトリ初生雛における気質とストレス遺伝子発現量の品種間差

*石川 明1、高沼 朋香1、橋本 典和2、都築 政起3 (1. 名大院生命農、2. 和歌山県養鶏研、3. 広大院統合生命)

[目的]飼養管理(性判別やワクチン接種等)により受けるニワトリ初生雛のストレスは、成長後の問題行動と関連するといわれている。近年、演者らは、従来の行動テストより強いストレスを与える新規行動テスト(従順性テストと呼ぶ)を開発し、初生雛の気質の品種間差を評価できることを示した(日禽学会2021秋季大会)。本研究では、この従順性テストと弱いストレスを与えるオープンフィールド(OF)テストを実施・比較し、得られた各行動特性とHPA軸関連ストレス遺伝子発現量との関連を調査した。[方法] 日本鶏と外国鶏の7品種9-19個体を用いた。孵化後1日齢にOFテストを、2日齢に従順性テストを実施し、主成分分析により品種間差を調査した。特徴的な気質を示した5品種雄4-6個体の間脳より総RNAを抽出し、qPCR解析により3つのストレス遺伝子の発現量を定量した。[結果]OFテストの結果、活動的な大シャモと大人しいトサクキン等に区別できた。従順性テストの結果、攻撃性のある大シャモ、喧騒性のあるファイヨウミ、喧騒性・逃避性のあるチャボ等に区別できた。主成分分析の結果、OFと従順性テストは異なるストレス反応を検出していることが示唆された。OFテストの第2主成分スコアはGR発現量と正の相関を示した。一方、従順性テストの第1と2主成分スコアは、いずれも調査したHPA軸ストレス遺伝子の発現量と有意な相関を示さなかった。