日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

2. 育種・遺伝

育種・遺伝Ⅰ

2023年9月20日(水) 09:00 〜 11:50 第V会場 (4番講義室)

座長:和田 健太(東京農業大学)、石原 慎矢(日本獣医生命科学大学)、石川 明(名大院生命農)、鈴木 恒平(家畜改良セ)、谷口 雅章(農研機構畜産研)、福田 智一(岩手大理工)

11:10 〜 11:20

[V-20-14] 黒毛和種去勢肥育牛におけるビタミンA制限飼料と産肉能力に関わる遺伝子多型およびルーメン内微生物の関連性

*大郷 すみれ1、佐藤 元映2、岡本 優3、永井 友香理3、氏家 優子3、阿久津 充4、松本 浩道2、福井 えみ子2 (1. 宇大院地域創生、2. 宇大農、3. 栃木畜酪研セ、4. 栃木畜振)

【目的】脂肪交雑の増加を目的として、黒毛和種肥育においてビタミンA(VA)制限飼料が用いられてきた。肥育牛の血中VA濃度低下は、健康被害による生産性の低下を招く恐れがあり、詳細な検討が求められている。本研究では、VA制限飼料(制限群)またはVA投与(投与群)により肥育した牛の体重-格付けデータを基に、産肉能力に関わる遺伝子多型とルーメン内微生物との関連性を検討した。【方法】栃木県畜産酪農研究センターの黒毛和種去勢肥育牛の投与群(血中VA濃度:80 IU/dL以上)と制限群(血中VA濃度:40 IU/dL以下)の8頭の血液よりDNAを抽出し、SCDEDG1GH遺伝子型を判定した。また、各個体のルーメン液を採取し、微生物の16S領域を解析した。これらの結果を用いて、体重-格付けデータとの関連性を検討した。【結果】脂肪交雑では、投与群4頭はBMS No.8~11、制限群3頭はBMS No.9~12を示し、BMS No.12の2頭は、SCD遺伝子がAA型であった。枝肉重量では、投与群4頭は505~585 kg、制限群3頭は520~557 kgを示し、投与群2頭と制限群1頭は、農林水産省の目標値545 kg以上であった。肥育中期の日平均増体量では、投与群は制限群と比較して高い傾向を示した。ルーメン内微生物の構成では、Prevotella属は全体の約30%を占め、両群間に差異は認められなかった。