日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

2. 育種・遺伝

育種・遺伝Ⅱ

2023年9月20日(水) 09:00 〜 11:40 第VI会場 (5番講義室)

座長:増田 豊(酪農大農食環境)、岡村 俊宏(農研機構畜産部門)、山崎 武志(農研機構北農研)、大澤 剛史(家畜改良セ)、阿部 隼人(北酪検)、舘林 亮輝(農研機構畜産部門)

11:30 〜 11:40

[VI-20-16] 北海道のホルスタイン集団における乳中β-ヒドロキシ酪酸(BHB)と生産・繁殖・長命性形質の遺伝分析

*阿部 隼人1、後藤 裕作2、山口 諭1、中川 智史1、中堀 祐香1、萩谷 功一3 (1. 北酪検、2. 日ホ北支局、3. 帯畜大院)

【目的】ホルスタイン種の泌乳初期における乳中β-ヒドロキシ酪酸(BHB)の選抜形質としての有効性を検討するため、BHBと2産までの生産、繁殖並びに長命性形質との遺伝的関連を調査した。【方法】データは、北海道酪農検定検査協会が収集したホルスタイン種の牛群検定記録および日本ホルスタイン登録協会北海道支局が収集したそれらの血縁記録である。これらのデータから、2018年4月から2021年3月までに初産分娩し分娩後初回検定においてBHBの記録された個体を抽出した。分析対象形質は、初産および2産次における分娩後初回検定時のBHB、305日乳量・乳脂量・蛋白質量、乳期内の体細胞スコアの最大値、分娩後初回授精までの日数、初回授精受胎率および生存能力であり、BHB以外の形質については欠測を許容した。これらの形質に対して多形質アニマルモデルを適用し、遺伝的パラメーターを推定した。【結果】初産BHBと2産BHBの遺伝率はいずれも0.18程度、初産BHBと2産BHB間の遺伝相関は0.87と推定された。初産BHBと各産次の生産形質間には概ね望ましくない符号の遺伝相関が推定された一方、初産BHBと各産次の繁殖・長命性形質の間には望ましい符号の遺伝相関が推定された。初産BHBに対する選抜は複数産次にわたる生産形質に好ましくない相関反応をもたらすが、一方で遺伝率の低い非生産形質の間接選抜には役立つ可能性がある。