日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

4. 形態・生理

形態・生理

2023年9月20日(水) 13:00 〜 16:20 第VII会場 (21・22番講義室)

座長:辰巳 隆一(九大院農)、岩崎 智仁(酪農大食と健康)、佐藤 幹(東北大)、磯部 直樹(広大院生物圏)、室谷 進(農研機構畜産部門)

14:30 〜 14:40

[VII-20-26] 慢性暑熱ブロイラーの脂肪組織・細胞における脂質代謝関連遺伝子の発現解析

*宮崎 傑1、阿部 知夏1、河野 涼香2、佐藤 幹2、徳武 優佳子1 (1. 信州大農、2. 東北大院農)

【目的】慢性的な熱ストレス(HS)はブロイラーの脂肪蓄積を亢進する。HS下での脂肪蓄積を減らすには、脂肪蓄積亢進に至る機序の解明が不可欠である。先行研究では、HS下で複数の脂質生合成に関連する遺伝子群が上方調節されることが明らかになった。本試験では、HSが脂肪組織に及ぼす変化を詳細に解明するため、in vivo, in vitro系を用いて脂質代謝関連遺伝子の発現解析を行った。【方法】適温(24℃)およびHS(32℃、14日間)処理したブロイラーの腹腔内脂肪を採取し、遺伝子発現解析に供した。次に、HSが脂質代謝関連遺伝子を直接誘導するかを調べるため、単離培養した脂肪細胞を高温曝露(42.5℃、対照区:41.0℃)した後、RNAを抽出し、遺伝子発現解析に供した。【結果・考察】in vivoの試験において、脂質の取り込みを担うLPL遺伝子の発現がHS下で上昇した。また、LPLの転写調節を担うPPARGも同様に上昇し、中性脂肪の合成を担うDGAT2は増加の様相を示した。In vitroの試験において、LPLの遺伝子発現は上昇した一方で、PPARGとDGAT2の発現は変化しなかった。鳥類の脂肪組織においてはde novo脂肪合成が少なく、LPLを介した脂肪取り込みが行なわれている。本研究より、LPLがHSにより発現誘導されて、脂肪蓄積亢進の直接的な原因となっている可能性が示唆された。