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[VII-20-36] 生後6時間までに摂取した乳成分が豚の腸管発達に与える影響の解析
【目的】新生子豚における適切な初乳摂取は免疫付与と臓器発達に重要である。我々は、これまでに非妊娠豚に人為的に泌乳を誘起するが可能であることを世界で初めて報告し、さらに泌乳開始直後に得られる乳(誘起初乳)中IgG濃度は初乳と同等であることを明らかにし、誘起初乳の代用初乳としての有用性を示している。本研究では生後6時間以内に摂取した乳成分が豚の腸管発達に与える影響を解析し、誘起初乳の代用初乳としての有効性を腸管発達の観点で評価した。【方法】新生子豚を初乳(n=7)、誘起初乳(泌乳開始後24~48時間の乳、n=7)、誘起常乳(泌乳開始後96~120時間の乳、n=8)摂取群および未摂取群(n=7)の4群に分け、分娩直後から6時間隔離して処置し、その後実母豚に戻して飼育した。定期的に採血し、生後21日で解剖、小腸を組織的に評価した。【結果】生後21日までの体重変化、解剖時の肝臓、胃、小腸重量には群間で有意差は認められなかった。生後21日の小腸は、誘起常乳および未摂取群では中部から下部における腸絨毛粘膜固有層が未発達であり、同部位における膠原線維量およびFGF2陽性細胞数が初乳または誘起初乳摂取群に比べ少なかった。【考察】出生後6時間以内に摂取する乳成分は、離乳時の腸管発達に明瞭な影響を与えることが明らかになった。腸管発達の観点から、誘起初乳は初乳と同等の効果を有することが明らかになった。